2013年1月10日木曜日

④.中国・南方週末改ざん問題で新展開:当局の圧力と北京紙の反発



●8日、中国紙・南方週末の新年号が当局の指示で改ざんされた問題で、同紙の黄[火山](ホアン・ツァン)編集長の辞任と引き換えに、広東省共産党委員会宣伝部の事前検閲制度が撤廃される見通しとなった。写真は南方週末の紙面。




サーチナニュース 2013/01/10(木) 02:05
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0110&f=politics_0110_001.shtml

中国・南方週末改ざん問題で新展開、当局の圧力と北京紙の反発

  中国広東省の有力週刊紙、南方週末(南方周末)の新年号の記事が地元当局に改ざんされた問題が新たな展開を見せている。
 中国共産党中央宣伝部が全国各地のメディアに報道統制を正当化する体制派メディアの社説を転載するよう指示したところ、一部メディアが反発。
 宣伝当局の圧力に抗議して北京の有力紙・新京報の社長が辞意を表明したなどと伝えられている。

■「党のメディア管理は基本原則」

  9日のフランス国営ラジオ局RFI(中国語電子版)などによると、党中央宣伝部(中宣部)は7日、全国各地の有力紙と主要ニュースサイトに南方週末の事件に関する内部通達を出した。

  中国のインターネット上で出回っているこの「緊急通知」によると、中宣部の指示は次のようなものだ。

 一、党によるメディア管理は揺るがすことのできない基本原則である。
 二、南方週末の今回の事故は(記事を書き換えたとされる)広東省党委宣伝部長のタク震同志とは無関係である。(タクは「席」の「巾」を「尺」に)
 三、この事件には海外の敵対勢力が介入している。

  そして「管轄下の編集者、記者と従業員にネット上で南方週末を支持する発言をさせないよう」求めた。さらに中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報の社説を各地のメディアとウェブサイトが転載するよう指示した。

■「中国に自由なメディアはない」

  7日付の環球時報の社説は、
 「記事の書き換えは広東省党委宣伝部が行ったものではない」
と宣伝当局の介入を否定している。

  しかし同時に、
 「中国の今の政治社会の現実では、『自由なメディア』はありえない」
 「メディア改革は中国全体の改革の一部であるべきだ」
と報道統制を正当化。
 「中国で政府に公然と対立すれば、必ず敗者となる」
と南方週末の騒動を批判し、読者に鎮静化への「協力」を呼びかけた。

  7日から8日にかけ、多くの中国メディアがこの環球時報の社説を転載した。
 もっとも米国の中国語ニュースサイト・多維新聞網によれば、網易、新浪(SINA)、騰訊(テンセント)の3大ポータルサイトが、転載記事の最後に
 「掲載は当サイトが記事に賛同しているということではない」
とわざわざ断りの一文を入れるなど、ささやかな抵抗もあった。

■新京報の社長が辞意表明

  RFIによると、中宣部は各地の党機関紙に転載を命じる従来のやり方を改め、各地で人気のある「都市報」(大衆紙)を指名した。
 7日に名指しで転載を要求された都市報のうち、北京市の新京報と湖南省の瀟湘晨報の2紙は従わなかった。

  未転載の報告を受けた中宣部の劉奇葆部長は8日、
 「2社は必ず掲載せねばならない」
と強く命じ、前任の劉雲山・政治局常務委員も転載を指示した。

  8日夜に北京市党委宣伝部の副部長が新京報の本社にやってきて、
 「転載しなければ新聞社を解散する」
と脅したという。
 新京報の編集部は反発し、双方は9日未明まで対峙(たいじ)した。
 9日未明には北京市党委宣伝部長も現場に駆けつけ、転載の可否をめぐって新京報の戴自更社長と激しい応酬となった。
 戴社長は宣伝部長と副部長に
 「今ここで辞職を願い出ます」
と言い放ち、口頭で辞意を表明したと伝えられている。

■ブラックユーモアで抗議

  結局、新京報は9日付で環球時報の社説を掲載したが、全文の転載ではなく、短く編集したうえ、第20面の一番下に小さく載せた。
 これにより抗議の意を示したとみられている。

  湖南省長沙市の瀟湘晨報も、当局の圧力を受け9日付の第2面に社説の全文を転載した。
 ただしこの紙面の半分以上を割いて記事より大きく載せたのは、害虫駆除の広告。
 英BBC放送(中国語電子版)は「ブラックユーモアで批判」と伝えている。



レコードチャイナ 配信日時:2013年1月9日 23時29分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=68294&type=0

南方週末改ざん問題、編集長辞任で検閲撤廃か=双方が譲歩へ―中国

 2013年1月8日、世界日報(電子版)によると、改革的な論調で人気の高い中国紙・南方週末の新年号が当局の指示で改ざんされた問題で、同紙の黄[火山](ホアン・ツァン)編集長の辞任と引き換えに、広東省共産党委員会宣伝部の事前検閲制度が撤廃される見通しとなった。
 双方が譲歩する形で折り合いをつけ、今週号は通常通り発行される。

 それによると、南方週末の記者の1人は
 「編集側の希望は改ざんを指示したとされる同宣伝部長の更迭ではなく、記事の事前検閲制度の撤廃だ」
と説明。
 双方が譲歩する見通しが立ったことで、ストライキ中の記者たちは業務再開の準備を始めているという。
 しかし、宣伝部の姿勢に変化がなかった場合は
 「相応の措置をとる」
と主張。
 「我々の手の中で新聞は死なない」
と話した。

 広東省広州市の南方週末本社前では8日、前日に続き公安関係者が警備にあたった。
 本社前に集まった記者らを支援する人々と、逆に反対する人々が口論になる一幕もあった。




レコードチャイナ 配信日時:2013年1月10日 20時17分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=68327&type=0

「膝まずきたくはなかったが、膝は砕かれた」
中国の報道検閲問題は幕引きなるか?―英メディア

 2013年1月10日、中国・広東省の有力地方紙「南方週末」の記事が共産党当局の検閲によって大幅に書き換えられた問題は、表面上は事態の収束に向かっているが、問題は新政権にとっての試練になりそうだ。
 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)中国語版が伝えた。

 3日付で発行された南方週末の新年号の記事が、メディアを管轄する同省共産党委員会宣伝部の指示で、内容を大幅に変更させられた。
 この事実が同紙の編集部員によって拡散されると、事態は全国の報道関係者や一般国民を巻き込むものに。
 ついに収束に動いたのは、広東省トップの胡春華(フー・チュンホア)共産党委書記だ。
 抗議のストライキに踏み切っていた同紙編集記者らに対し「処分はしない」との約束を取り付け、今後は党宣伝当局による検閲を緩和すると示唆することで事態の収拾を図った。

 しかし、事態はすでに他紙にまで波及している。
 共産党中央宣伝部は国内各紙に対し、南方週末を批判する共産党系紙の社説を転載するよう命じていた。
 これを拒否した北京地方紙「新京報」の社長が抗議の辞任を表明している。
 共産党宣伝部の関係者と同紙編集長が応酬する現場に居合わせたある匿名の人物によると、当局の職員は
 「命令に従わなければ新聞そのものをつぶす」
と脅してきたという。
 結果、問題の社説は掲載されることになった。
 しかし、その内容は大半が削除され、最終ページに配置されるという物別れに。
 削除された中には、
 「報道関係者は公に政府を挑発すべきではない」
との文言が含まれていたという。

 「我々は膝まずきたくはなかった。しかし、膝は砕かれた」。
 新京報の編集者と名乗る人物は、インターネット上に苦汁の声を放った。
 現在、この騒動に関連するネット上の掲載情報は、関連当局によって見る間に削除措置がとられている。

 その一方で、南方週末が本拠を置く広東省広州市では、市民による街頭の抗議活動が警察当局の干渉を受けることなく、ほぼ野放し状態となっている。
 政府はこうした問題について、如何に手綱を引くのか?
 これは、今年3月に中国国家主席の座に就く新指導者の習近平(シー・ジンピン)総書記にとっては大きな試練となるだろう。




レコードチャイナ 配信日時:2013年1月11日 16時57分    
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=68360&type=0

記事差し替え問題から発行を再開した「南方週末」、検索制限が依然続く―中国

●10日、中国・広東省の週刊紙「南方週末」が予定通りに最新号を発行した。同紙は今月3日付の新年号で、当局の指示で掲載予定記事を大幅に変更させられたとして問題となっていた。写真は中国版ツイッター画面。「南方週末」のキーワードが検索不能であることを伝えている。

 2013年1月10日、中国・広東省の週刊紙「南方週末」が予定通りに最新号を発行した。
 同紙は今月3日付の新年号で、広東省共産党委員会宣伝部の指示により掲載予定記事を大幅に変更させられたとして社会的な問題となっていた。

 同紙編集部員らは共産党当局による介入の事実を社会に公開し、今月7日よりストライキを決行していた。
 その後、広東省トップの胡春華(フー・チュンホア)党委書記により、彼らの処分は行わないこと、加えて今後の検閲の緩和、当局寄りと批判されていた同紙編集長の更迭を示唆することで、事態は少なくとも表面的に収束するに至った。

 10日は通常通り、最新号を発行する運びに。
 掲載記事内には、当局の強硬姿勢を批判するような文言も見られたものの、一連の事件について読者に説明する記事の掲載は見送られている。

 そして、“中国版ツイッター”と呼ばれる簡易投稿サービスでは、11日午後現在も依然として南方週末に関連する投稿は制限されており、これに関するキーワード検索も禁止措置がかかったままだ。
 また、ここに解説された同紙の公式アカウントは10日より更新を再開し、これまでに掲載記事の転載など11件の投稿を行っている。
 ここには多くの読者から応援の声が届いている。

 「あなたたちの勇気を支持する」
 「多くの力があなたたちを支持している」
 「がんばってください」
 「あなたたちを応援するためにミニブログサービスに入会しました」
などの声のほかに、
 「今は誰がこの公式アカウントを管理しているのですか?」
などの疑問や、
 「ファシストにはNOと言おう!」
 「真実を語る媒体こそ真の報道媒体」
 「報道機関は独立してこそ社会のパワーとなる」
 「強権を怖れず、民衆の心を引きつける民衆のための媒体でいてください」
などの声が寄せられた




NHK ニュース 1月11日 21時23分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130111/k10014755231000.html

中国 記事書き換え問題で引き締めへ



 中国の新聞で政治の民主化などを求める記事が地元当局に書き換えられたとされる問題で、当局に対する抗議活動は収まりましたが、当局側は、メディア管理の責任者を集めて会議を開き、今後、引き締めに転じるものとみられます。

 これは、中国南部、広東省に拠点を置く新聞「南方週末」の新年号で、政治の民主化などを求める記事が地元当局に大幅に書き換えられたとして、記者らが反発しているものです。
 広州にあるこの新聞の本社前では支援者による抗議活動が4日連続で行われましたが、11日、警察の厳重な警備は続いているものの、大規模な抗議活動は発生しませんでした。
 こうしたなか、共産党の広東省委員会は10日、メディア管理の責任者である宣伝部長を集めた会議を開き、共産党の指導に忠実に従うことを確認しました。
 この会議には、記事を書き換えさせたとして、抗議活動の参加者が辞任を要求している※たく震宣伝部長が出席していて、当局は今後、引き締めに転じるものとみられます。
 その一方、ネット上には、この週末、中国の主要都市で、抗議デモを呼びかける情報も出ており、書き換え問題に対する不満はくすぶり続けています。
※「たく」は「度」の字の「又」が「尺」。