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ロイター 2012年 12月 17日 18:12 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE8BG04N20121217
焦点:中国周辺の「領土問題」、米国にとっても火種に
[ワシントン 16日 ロイター]
中国と周辺国との間で過熱する領有権問題。
その核心にあるのは小さな島々で、米国本土からは遠く離れ、オバマ政権の懸案事項としては優先順位も低かった。
しかし、ここにきて各国の対立が一段と先鋭化する兆しも見え始め、米国も巻き込みかねない火種になっている。
日本の外務省は13日、中国国家海洋局所属の航空機1機が、尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺の領空を侵犯したと抗議。
防衛省は航空自衛隊のF15戦闘機を緊急発進させた。
一方、中国外務省は「完全に正常」な運航だったと反論するとともに、日本に対して尖閣諸島周辺への進入を止めるよう求めた。
一連の動きは、
中国の周辺海域では2013年は緊張の連続になる可能性が極めて高い
ことを示唆している。
また、米外交政策の課題の多くは中東問題が占めているが、国務省は、南シナ海での多国間の領有権争いが世界で最も難しい問題の1つだとみている。
オバマ政権はこれまで、中国に圧力をかけるよりむしろ、主に民間外交や米国の基本姿勢に関する声明を出すことで、アジアの領有権問題がエスカレートするのを防ごうとしてきた。
しかし、自国の領有権主張を強める中国に行動を思いとどまらせるには至っていないようだ。
マサチューセッツ工科大(MIT)安全保障研究プログラムのM・テイラー・フラベル氏は、最近の中国の行動は
「ある意味、米国の(アジアへの)コミットメント強化にも臆していないことを意味する」
と語っている。
中国は、フィリピンが自国の排他的経済水域(EEZ)内にあると主張するスカボロー礁(中国名・黄岩島)について主権を主張しており、尖閣諸島では日本の「実効支配」への挑戦を強めている。
アナリストの多くは、2010年以降の尖閣諸島をめぐる
中国の姿勢が、16日投開票された衆議院選挙で安倍晋三総裁の率いる自民党が圧勝する一因
になったと指摘する。
安倍氏は選挙期間中、対中強硬姿勢を訴えていた。
米国は公式には、領有権問題では中立姿勢を示しており、対話を通じた外交的解決を呼び掛けている。
すべての関係国に武力行使に踏み切らないよう、年間5兆ドルの物資が往来する海上交通路を妨げないよう求めている。
ただ一部の専門家からは、アジアの外交問題で存在感を示してきたクリントン国務長官とキャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が来年退任してしまえば、日本やフィリピンはこれまで同様の支援を米国から得られなくなると懸念する声も聞かれる。
さらに、米国の減税失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」問題が解決しない場合、2013年には防衛費の大幅な削減が始まる可能性もある。
もしそうなれば、アジアの同盟国が米国に寄せる信頼は損なわれ、
中国の態度はさらに自己中心的になるかもしれない。
<米国のジレンマ>
米国と日本やフィリピンの間には、長年にわたる安全保障条約がある。
尖閣諸島については、日本が攻撃された場合に米国が日本を防衛することを定めた日米安保条約の「明らかな」適用対象になると米国は明言している。
フィリピンは米国からここまでの確言は得ていないが、自国海軍の装備最新化に向けた支援を米軍から受けている。
またマニラで今週行われた協議の後、フィリピン軍のジェシー・デロッサ参謀総長は、2013年はフィリピンに寄港する米海軍の艦船が増えるとの見通しを明らかにした。
かつてアジア最大の米海軍基地だったスービック港に寄港した米海軍の艦船数は今年、前年比で3割増えたという。
豊富な天然資源が眠るとされる南シナ海で中国は、フィリピンとだけではなく、ベトナムとも領有権をめぐって争っている。
ベトナムも米国と軍事的な接触を増やしているが、MITのフラベル氏によると
「多くの国が神経をとがらせ、米国の方を向いている」
という。
ただ、オバマ政権は確かにアジア重視に舵を切ったものの、兵力や軍装備のアジアへの移動は今のところ限られている。
アジア地域に駐留する米軍兵士の数は約8万人で安定しており、その大半は在日および在韓米軍だ。
米海軍大学のジェームズ・ホームズ氏は、米国にとって長期的なジレンマは、
「取れるうちに取っておくという中国の作戦」
から世界の秩序を守りつつ、中国との衝突を避けることにあると指摘する。
「スカボロー礁は言うまでもなく、尖閣を誰が保有しようと実際には我々にとって大した違いはない」。
こう語る同氏は、厭戦(えんせん)感のある米世論に対し、岩礁や島をめぐって中国と戦う選択肢を訴えるのは政治的に難しいとみている。
米太平洋軍のロックリア司令官は先週記者団に対し、
「すべての関係国が冷静さを保ち、意思決定や協議に軍事力を不必要に持ち込まないと保証すること」
が重要だと述べた。
MITのフラベル氏は
「領有権争いの根本的な悲劇は、お互いが自国の行動は純粋に自衛かつ自分たちの主張を守るためのもので、相手国の行動は攻撃的だと信じていることだ」
と語っている。
(原文執筆:Paul Eckert記者、翻訳:宮井伸明、編集:本田ももこ)
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レコードチャイナ 配信日時:2012年12月24日 17時44分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67770&type=0
<尖閣問題>
日中の対立で米国が漁夫の利を得る
=人民元の国際化妨害が狙い―中国メディア
2012年10月23日、各国のメディアでは、尖閣諸島をめぐる日中の対立の激化により米国が漁夫の利を得ると報じられている。
日中の対立を受けて、遊休資本が中国、日本から米国へ向かい、これを利用した米国が国際化へ向かう中国の金融を叩くという図式だが、果たしてこの説は的を射たものなのだろうか。
国際在線が伝えた。
米国経済の切り札は、世界で最も強い準備通貨である米ドルだ。
そのため、米国にとってドルの影響力の低下は最も恐ろしく、容認しがたい事態である。
中国の台頭にともない、人民元の国際化が注目を集めている。
今年6月1日には日中で人民元と日本円の直接取引が始まり、日本も人民元を準備通貨として取り扱い始めた。
人民元の国際化にとって、最も大きな一歩だったといえるだろう。
さらに、十数億人にものぼる人口を抱える日中韓3国による自由貿易協定の交渉がまとまれば、世界経済成長のエンジンとなると見られている。
こうした動きが米国への痛烈な打撃になることは間違いない。
そのため、米国は日中間で絶えず争いの火をあおり、東アジアの自由貿易を阻もうとしている。
これによる利益を受けるのは米国主導のTPPだ。
米国はドル安を狙った量的金融緩和の第3弾を打ち出している。
これは本来遊休資本の米国離れを加速させるものだが、ホットマネーは対立の続く日中や債務危機の欧州を回避し、米国に流れ込むことになる。
現在の世界では、搾取と植民地化は武力ではなく、強大な経済力と軍事力を後ろ盾とした通貨植民政策によって行われる。
通貨の発行によって世界の資産の購入や、債務の希釈化が可能となる。
それゆえに、人民元や他の通貨が米ドルの覇権を狙おうとすれば、必ずや米国に陥れられることになる。
外交学院国際関係研究所の王帆(ワン・ファン)所長は、
「米国は様々な思惑を持って中国に対抗する日本を支援している。
中国金融の国際化の妨害がそのひとつだ。
米国は尖閣問題に関して両国から助けを求められることを利用して、漁夫の利を得ようとしている」
とコメントした。
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【中国の外交文書:“尖閣は琉球の一部”】
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