●天津マンハッタン計画
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ロイター 2012年 12月 18日 13:53 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BH03820121218
焦点:中国が再びインフラ投資に傾斜、効率悪く地方政府に巨額の赤字
[中国・江西省南昌市 18日 ロイター]
中国は経済成長率が13年ぶりの水準に鈍化し、
政府は景気てこ入れのため再び社会インフラ投資への傾斜を強めている。
ただ、人口の寡少な地域での地下鉄建設など非効率な投資が行われ、地方政府は巨額の赤字を抱え込んでいる。
中国政府は成長促進に向けて立案済みのインフラ投資計画の承認を加速。
わずか半年間で23都市での地下鉄の建設・延伸を承認した。
江西省南昌市はこのうちの1つで、承認を受けた中で都市の規模が最も小さい部類に属する。
南昌市当局によると、市の人口は2015年までに15%増える見通しで、地下鉄網の建設はこれに対応するのが目的。
15年までに2路線(総延長51キロメートル)を建設する予定で、費用は274億元と市の2011年の総生産(GDP)の10%、歳入の67%に相当する。
2020年までにはさらに3路線、117キロメートル分を整備する予定だ。
しかし近代的な駅舎はガランとした街の赤茶けた土地に建設されており、周辺の人影はまばら。
南昌市は人口が300万人と中国の基準では小粒で、地下鉄建設が財政負担に見合うのか疑問だ。
ノムラのエコノミストのZhang Zhiwei氏は
「将来、成長の下支えが必要になれば、もっと大きな投資プロジェクトをひねり出さなくてはならなくなる。
こうしたことをいつまでも続けることはできない」
と話す。
インフラ投資に批判的な向きは、
政府の無駄遣いぶりは中国が投資を抑え、消費を増やさなければならないという事実
を明確に示していると指摘する。
国際通貨基金(IMF)も同じ見方だ。
エコノミストによると、中国の今年の投資の対GDP比は昨年の49%とほぼ同水準になる見通し。
一方、先進国は消費がGDPの60─75%を占める。
成長の投資への依存には、途中で途切れてしまう道路など無駄が生まれ、不良債務が積み上がって国の財政が逼迫し、国内消費が窒息状態となるリスクがある。
IMFは11月、中国は年間にGDPの4%に相当する3030億ドルの投資が過剰で、経済の安定維持には投資をGDP比10%抑制すべきだと指摘した。
■<大量の債務>
反対派はインフラ投資がリスクを内包する証拠として、2008/09年の金融危機後に地方政府の債務が10兆7000億元積み上がったことを挙げる。
アナリストによると、このうち最大で3分の1が不良債権化している可能性がある。
南昌市の昨年の財政収支は、中央政府からの財政移転や土地売却収入などにより112億元の黒字だった。
しかし他の地方政府と同じように南昌市も
ペーパーカンパニーを使って資金を借り入れ、予算外の支出を賄い、地元経済の押し上げを図っている。
公式記録によると南昌市はこうした金融関連会社を少なくとも2社保有しており、両社は大量の債務を抱えている。
このうちナンチャン・ミュニシパル・パブリック・インベストメント・ホールディングス社は昨年の負債が135億元で、営業キャッシュフローの28倍近い。
またナンチャン・シティ・コンストラクション・インベストメント・デベロップメント社は昨年の負債が106億元で、キャッシュフローは1億5560万元のマイナスだった。
フィッチ・レーティングスは、こうした
巨額の負債について、景気が失速すれば不履行が発生する恐れがある
と指摘する。
フィッチの中国の現地通貨建てソブリン格付けはAAマイナスで、見通しは「ネガティブ」だ。
ただ、地下鉄建設に莫大な費用が掛かり、リターンが低い傾向があるのは確かだが、中国の全ての地下鉄建設計画が愚かなわけではないとの声もある。
またインフラ投資支持派は、投資は過去5年間に大量に実施されたが、まだ余地は残っていると主張する。
経済研究機関GKドラゴノミクスによると、中国の昨年の国民1人当たりの資本財投資は米国の6─7%にすぎない。
世界銀行の運輸専門家のジェラルド・オリビエ氏は、人口密集地での地下鉄建設はコストが高くつき、人口が少ないうちに建設した方が費用を抑えられるとしている。
(Koh Gui Qing記者)
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ロイター 2012年 12月 20日 09:54 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE8BJ00G20121220
中国、2012年に内陸部で930億ドルの投資プロジェクトに着手
[北京 19日 ロイター]
中国は、内陸部の経済発展を促進するため、
2012年に西部の省で22件・総額5778億元(927億ドル)の主要投資プロジェクトに着手した。
国家発展改革委員会(NDRC)が19日、ウェブサイトに掲載された声明で明らかにした。
プロジェクトは、鉄道、道路、空港、農業水利施設、ガスパイプライン、風力施設、製鉄所の建設に関するもの。
財源の詳細は明らかにされておらず、政府予算がどの程度含まれているのかや、銀行融資や他の資金調達手段などの内訳は不明。
中国西部は、沿岸部と比べて経済の発展が遅れており、政府は2000年以降、両地域の格差是正を国家戦略としている。
NDRCによると、西部では2000─2012年に187件・総額3兆6800億元の投資プロジェクトが開始された。
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レコードチャイナ 配信日時:2012年12月19日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67555&type=0
<このインフラ投資がひどい2012>
中国がやらかした4大過剰投資―米誌
2012年12月13日、米誌アトランティック・シティは記事
「2012年度、中国の4大浪費インフラ投資」
を掲載した。16日付で環球時報が伝えた。
中国といえば、国中を掘り返すような過剰建設が投資を牽引している。
例えば中国のすべての省が世界をリードする金融センターを建設しているというだけで、その無駄がわかるだろう。
残念ながらこの世界にはそれほど多くの投資銀行や弁護士事務所はない。
結局、誰も人がいないゴーストタウンができあがるのだが、
専門家によると経済成長が続けばゴーストタウンにも次第に人が入り、人間の街になる、のだとか。
専門家がそう言うならば信じるしかないが、しかし2012年のムダ遣い投資はやはり目を引く。
①.その筆頭はチベット自治区ラサ市のテーマパーク。
観光資源はいくらでもあるチベットに、48億元(約624億円)も費やして漢族とチベット族の絆のシンボルとされる文成公主のテーマパークを作るらしい。
さらにチベット南部にスイス村を作る計画もあるのだとか。
テーマパークは中国各地の地方自治体に山ほどの債務をこさえているのだが、チベットでやる必要はあるのだろうか。
②.第二のムダ遣いは天津の「中国マンハッタン」計画。
ロックフェラー・センターやツインタワーを模したニューヨークのコピー金融街を作る計画だ。
③.第三のムダ遣いはアルミ溶解炉の乱立。
中国経済の成長鈍化もあり、アルミの供給過剰は明白だが……。
ロンドン金属取引所の統計によると、1985 年から2005年までに世界で133基のアルミ溶解炉が建造されたが、うち119基が中国。
それでもいまだに内陸部を中心に乱立は続いている。
④.第四にアンゴラに作られたマンション。
中国はついにゴーストタウンまで輸出してしまった。
と、アトランティック・シティは報じているが、これは事実とはそぐわないのでここでは訳出しない
(環球時報編集)。
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レコードチャイナ 配信日時:2012年12月21日 21時32分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67658&type=0
大規模な地下鉄建設計画は中国の過剰投資リスクの象徴―香港紙
2012年12月18日、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは
「中国の大規模な地下鉄建設が投資リスクを象徴している」
と題した記事を掲載し、地下鉄の建設計画を例に挙げ、中国の過剰なインフラ投資を紹介した。
19日付で環球時報が伝えた。
欧米経済の低迷を受け、中国政府は再び投資を拡大して経済成長を維持しようと試みている。
その結果、今年6月までに全国23の都市で地下鉄の拡張や新設が認可された。
人口約300万人の江西省南昌市は、その中でも最も規模が小さい都市の1つである。
同市政府は
「地下鉄は将来人口が増加した時のニーズを満足させ、大都市の仲間入りを促進させる」
と語る。
しかし、経済学者などの目には「過剰」と映る。中国では昨年とほぼ同じく、今年も投資が国内総生産(GDP)成長の約半分を占める。
投資に依存し過ぎた成長は、無駄を生み、財政負担を増加させる。
市民の中にも「過剰」を肌で感じている人たちがいる。
地下鉄の敷設が予定されている南晶市のある村では、行き交う人々よりも家畜の方が多いような状況だという。
雑貨店の経営者は
「ここには人がほとんどいない。10数年相変わらずの状況だ」
と話し、地下鉄への投資に見合うような乗客が本当にやって来るのか疑問を呈した。
当然ながら、中国の地下鉄計画がすべて過剰というわけではない。
専門家は
「地下鉄の拡張は過疎の地域をいずれ人口密集地域へと成長させ、都市の環境計画面では未然の対策となる」
とし、人口が過度に集中する大都市ではまだまだ投資空間は大きいと指摘する。
しかし、南晶市はそうした例には当てはまらない。
人口が少なく、財政的にも厳しい同市は、地下鉄の建設にふさわしいかどうかも含め、投資によって成長を維持・促進する中国モデルのリスク例として研究する価値があるかもしれない。
一方で、多くの市民は経済学やコストについては無関心である。
ある市民は
「地下鉄の建設は良いことに決まっている。
われわれもやっと生活を享受できる時が来たんだ」
と話している。
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レコードチャイナ 配信日時:2012年12月23日 15時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67701&type=0
西部大開発、今年は22件の重点プロジェクトが着工=投資総額7兆円―中国
2012年12月20日、中国国家発展改革委員会が発表した情報によると、今年新たに着工した西部大開発重点プロジェクトは22件、
投資総額は5778億元(約7兆7273億円)
に達することが明らかになった。
人民日報が伝えた。
着工された22件の重点プロジェクトは次の通り。
1)重慶―万州鉄道
2)敦煌―ゴルムド(青海省)鉄道
3)張家口―フフホト(内モンゴル自治区)鉄道
4)寧西鉄道、西安―合肥を2線追加
5)雲南省麻柳湾―昭通道路
6)陝西省黄陵―銅川道路
7)青海省チャカ―ゴルムド道路の拡張
8)新疆アクス―カシュガル道路
9)内モンゴルウランホトル―ジャラントン道路
10)国道318号線川蔵道路(チベット区間)の拡張
11)南寧呉墟国際空港の新ターミナルおよび関連設備の建設
12)西部のサブ空港建設
13)ハミ(哈蜜=新疆ウイグル自治区)―鄭州の±800キロボルト高圧直流工事
14)溪洛渡左岸―浙西±800キロボルト高圧直流工事
15)農業情報網のアップグレード
16)無電地区の電力建設
17)西気東輸(西部のガスを東部に送る)第3ライン
18)中衛―貴陽天然ガスパイプライン
19)甘粛省酒泉1000万キロワット級風力発電所2期工事、第1期300万キロワット風力発電プロジェクト
20)金沙江中流の観音岩・魯地拉・龍開口水力発電所
21)四川省都江堰灌区給水1期プロジェクト
22)広西防城港製鉄所
(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/内山)
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